保険の知識

保険なんて買うな~とりあえず入っておこうは絶対にNG~ その1

保険なんて買うな~とりあえず入っておこうは絶対にNG~

保険なんて買うな

「保険の知識」では、保険に関する正しい知識をお伝えしたいと思っています。

保険の種類とか保険のしくみとか、初回に話せる無難な内容は色々ありました。

ですが、ここは保険に関する第一の原則として、最もお伝えしておきたいことを伝えておこうと思います。

それは、基本的に保険なんて買うな、できるだけ買わずに済ませろというものです。

 

とりあえずで(現物なら)投資商品を買っても良いですが、とりあえずで保険を買ってはいけません。絶対にいけません。

ほとんどの保険商品は、ぶっちゃけてしまうとひどいぼったくりです。わかっている人から見れば、もう開いた口が塞がらないほどの清々しいまでのぼったくりなのです。

 

その(見えにくい)ぼったくりのからくりを、保険料のしくみを説明することによって解説したいと思います。

保険料のしくみ~二重三重のマージン構造~

保険料のしくみを図示すると大体このようになります。

 

 

はい。なんかもう既に嫌な感じですよね。何個も枠があるってことはそれぞれで利益が取られているわけなので。

まず、営業保険料というものが私たちに提示される保険料になります。

これは普通、保険金額や積立金額に対する一定の割合で決められ、性別や契約年齢によって異なるものです(それぞれの人でリスクが異なるため、これは別におかしいことではないです)。

営業保険料は、純保険料付加保険料に分かれます。

純保険料とは~「純」だけど純じゃない奇妙なコスト~

純保険料というのは、「純粋な保険機能」に対するコストです。すなわち、「想定される保険金の発生に応じて求められる必要最低限のコスト」と言い替えることもできます。


例えば、ごくシンプルな掛け捨ての一時払死亡保険(一回払ったらそれきり)の純保険料がどのように決まるかを説明しましょう。

保険集団が十分大きい場合は、大数の法則というものが働き、実際の支払い額は支払いが想定される額(期待値)に近い数値になるという事実があります。コインを何度も何度も投げていると表の出る回数がコインを投げた回数の2分の1に近づいていくアレです。

そこで、期待値を純保険料として定めます。

具体的にはどうするかというと、生命表というものを用意します。生命表とは、男女年齢別の死亡率を集計した表です。この表を用いると、例えば平均的な50歳の男性が何歳までにどのくらい死ぬ予定かということが確率でわかります。なので予定死亡率と言います。

保険金額に想定される予定死亡率をかけると、必要な保険料が期待値として求められます。

適当な数値例を挙げます。簡単のため、ここでは利率のことは考えません。

保険金額が1000万円で、50歳男性が70歳までに死ぬ確率が20%ならば、50歳男性の70歳満期の死亡保険料は、

1000(万円)×20(%)=200(万円)

として求めることができます。

これは一番簡単な例で、もっと複雑な保険は色々ありますが、考え方はすべて一緒です。

保険金額に想定される支払事由の予定発生率をかけ合わせた期待値として純保険料は求められます。


……というのが「純保険料」のしくみです。

要するに当たり前の話ですが、期待値で会社側が損をしないように保険料は決められているわけですね。

一見もっとらしい保険料の求め方なのですが、実はここに既にからくりが潜んでいます。

どこにからくりがあるのかと言うと、死亡率などの「支払い事由の予定発生率」にあります。

一般に、死亡保険に入りたがる人は、普通の人よりも健康に自信がない人が多いと言われています。逆に一定期間後に生きていたときに保険金が支払われる生存保険や、生きている限りお金が支払われ続ける年金保険に入りたがる人は、普通の人よりも健康に自信がある人が多いでしょう。

自分が死んだり長生きするリスクがあると思っている人が、それに備えた保険に入りやすい傾向があります。そうした人たちが集まってできる保険集団の死亡率は、国民平均からはずれてきます。

これを逆選択と言います。保険会社は逆選択や他の要因を見積もり、それでも利益が出るような水準で予定死亡率などを設定しています。商売ですからね。

このような理由により、死亡保険料の設定にあたっては、予定死亡率はかなり安全めに見積もられています。つまり、想定される死亡コストが高くなる方向――予定死亡率は国民平均よりもかなり引き上げられ、その分だけ保険料は高くなります。

逆に生存保険や年金保険では、意図的に予定死亡率は引き下げられ、生存コストが高くなる方向に調整されます。

通常、この調整は相当安全目に行われます。よほどのことがないと損しないようにできています。

その結果何が起きるのかというと、純保険料」から普通に利益が出ます。安全目に見積もられた死亡率から来る利益を死差益と言い、第一のマージンとなるのです。

調整が行われるのはもちろん死亡率だけではありません。介護保険なら予定要介護発生率、がん保険なら予定がん発生率が当然調整され、そこでも利益が出ます。

また、あらゆる保険では解約が発生するので、解約された場合に損がないよう、コストが高くなる方向で予定解約率が調整され、ここでも利益が出ます(解約益)。ありとあらゆるところで細かく安全マージンを刻んで稼いでいきます。

ですので、一つ一つは小さくても塵も積もれば山となり、「純保険料」と言いながら既に利益のるつぼという奇妙なことになっているのです。

予定利率とは~予定利率と保険料の関係~

さて、保険料を決める大きな要素としては、保険金額、予定発生率の他にもう一つ、予定利率というものがあります。

やや難しい話になりますが、これを説明しないと保険料のしくみがわからないので、説明しておきましょう。

まず、利率という言葉自体はわかると思います。銀行の普通預金に入れておけば年0.01%で利息が付くというアレです。

保険会社も、ただ契約者のお金を預かってそのまま返すわけではありません。予定利率というものを付与して、予定利率にしたがって預かったお金を積み立てていきます。

例えば、養老保険という満期までは死亡保障をしながら満期に達すると生存保険金が返ってくるタイプの保険があります。この満期の生存保険金は予定利率に沿って増えていきます。

また、死亡保険でも途中で解約した場合は解約返戻金と言って、払い込んだ分から割合でお金が返ってきます。この解約返戻金も予定利率にしたがって積み立てられています。

ですから、予定利率というのは私たちが保険のスペックを見定める上でとても重要なものです。当然ですが、予定利率が高いほどリターンも大きくなります。

翻って、保険会社が保険料を決めるとき、この予定利率はどのように考慮されているのでしょうか。また例を挙げて説明しましょう。


最初の例では一時払と言って、一回払ったらそれきりの保険を考えました。ですが、普通保険というと年払いや月払いのものが一般的です。

ここでは年一回払いとして、保険料をどのように決めるかを話しましょう。

50歳男性、保険金額1000万円、20年満期死亡保険の一時払保険料が200万円とします。これを10年間の年始払いで分割して支払うことを考えます。

本当は生きて契約し続けている人しか保険料を支払わないので、生存率や解約率なども考える必要があるのですが、ここでは簡単のために保険料を支払っている間は死なずに解約もしないことにします。そして、予定利率は2%としましょう。

ここでキーになってくるのが、現価(お金の現在価値)という考え方です。

予定利率が年2%のとき、例えば今もっている100円を置いておくと一年後には何円になるでしょうか。

100(円)×1.02=102(円)になっていますよね。

ですから、予定利率が2%のとき、今持っている100円と1年後の102円は同じ価値を持つと考えるのです。

同じように、今の100円が2年後に何円になっているかを考えれば、複利ですから、

100(円)×1.02×1.02=104(円)(端数切捨て)

なので、今もっている100円と2年後の104円は同じ価値を持つわけです。

では逆に、1年後の100円は今の何円と同じ価値を持つでしょうか?

これが現価(お金の現在価値)という考え方です。現価は次の方程式を立てて解けば出ます。

今持っている x_1 円が1年後の100円と同じ価値を持つには、

x_1 \times 1.02 = 100

を満たしている必要があります。なので、

x_1 = 100 /1.02  = 98 (円)(端数切捨て)

ですから、今98円持っていることと1年後に100円持っていることが同じ価値を持つわけです。これを

同様に、2年後の100円は今の何円に相当するかを考えると、x_2 円に相当するとして方程式を立てて、

x_2 \times 1.02 \times 1.02 = 100
x_2 = 100 / 1.02^2 = 96 (円)(端数切捨て)

3年後の100円と同じ価値を持つ現在のお金 x_3 円は、

x_3 \times 1.02 \times 1.02 \times 1.02 = 100
x_3 = 100 / 1.02^3 = 94 (円)(端数切捨て)

もう法則性が見えてきたかと思いますが、一般に n 年後の100円が今の x_n 円に相当するとすると、

x_n = 100 / 1.02^n (円)

となります。予定利率で n 年分割り引くと現価が出ます。

この現価の考え方を使うと、年払いの保険料を求めることができます。もう一度問題の設定を述べましょう。

50歳男性の20年満期死亡保険の一時払保険料が200万円とします。これを10年間の年始払いで分割して支払うことを考えます。年払いの保険料を P として、P を求めましょう。

ここで、200万円というのは、一時払保険料の金額です。つまり、今すぐに全額払うとしたら200万円必要と言い替えることができます。さらに言い換えると、現価で200万円必要なわけです。

ということは、現価で200万円に相当する金額を10回分の P の支払いによってちょうど賄えればよいということになります。これを収支相等の原則と言います。

したがって、10回分の P の現価の合計を求め、これが200万円と等しくなるように式を立てます。

まず、1回目の P は今すぐ支払うわけですから、現価は P ですね。
2回目の P は1年後に支払うので、現価は P / 1.02 となります。
3回目の P は2年後に支払うので、現価は P /1.02^2
4回目の P は3年後に支払うので、現価は P / 1.02^3
……
10回目の P は9年後に支払うので、現価は P / 1.02^9

したがって、10回分の P の現価の合計は、

P + P / 1.02 + P / 1.02^2 + \cdots + P / 1.02^9 \\ = ( 1 + 1/1.02 + 1/1.02^2 + \cdots + 1/1.02^9)P

です。ここで、かっこの中は公比が 1/1.02 の等比数列になっていることに注目して、

 ( 1 + 1/1.02 + 1/1.02^2 + \cdots + 1/1.02^9)P = \frac{1 - 1/1.02^{10}}{1- 1/1.02}P

これが200万円に等しいわけですから、

\frac{1 - 1/1.02^10}{1- 1/1.02}P=2000000

よって、P=222653 (円)として求まります。

この例からもわかるように、クレジットカードなどでもそうですが、分割支払いをすると一括払いより支払総額が高くなります。それは予定利率を加味した収支相等の原則によって式が立てられているからです。

※ここでは最初の例と一緒で一時払保険料を200万円としましたが、実際は予定利率の2%は将来払われる時点の保険金額1000万円にも当然かかってきます。予定利率がある分だけ1000万円の現価を割り引いてくれるので、そもそもの一時払保険料がかなり低下します。

こちらの効果が大きく、一般に予定利率が高いほど保険料は安くて済みます。


ということで、予定利率というものもまた保険料の水準に大きくかかわってくるし、また契約者のリターンにもクリティカルに関わってくるものです。

基本は予定利率が高いほど契約者にとっては利益になるという話をしました。逆の立場では、保険会社にとってはコスト要因ということです。

では、保険会社が予定利率で約束したコストをどうまかなかっているかと言えば、実は保険会社は投資によって契約者に支払うお金を稼いでいます。これは銀行も一緒です。銀行も皆さんの預金を投資することによって利益を得ます。

予定利率に対して、保険会社が実際の投資によって得る収益に相当する利率を、運用利率と言います。

保険会社が契約者に約束している予定利率は、死亡率などと同様にかなり安全目に付与されます。つまりは、運用利率に対して予定利率は相当程度低めに設定されます。

したがって、「純保険料」の中には、予定利率によって定められた契約者に還すべき利息と、実際の運用で得られる利息との差による利差益という利益も含まれてくることになります。これがまた相当大きいのです。

ただし、もちろん想定を超えた事態が起きた場合は、むしろ保険会社側に損が出ることもあります。

バブル期には各保険会社が競って高い予定利率を付けた結果、バブルが弾けて今の低金利時代となった際、実際の低い運用利率と高い予定利率との差による利差損逆ざやが発生しました。このさやの分は契約者である私たちの利益になっています。

ですが、現在はマイナス金利とも言われるほどの超低金利環境下です。当然ですが保険会社も予定利率の付与には慎重になっておりものすごくしょっぱい利率しか提示されません。

つまり、今は保険商品というもの自体の魅力がかなり薄くなっているのです。保険に貯蓄性を期待するような時代ではありません。漠然とした安心のためにとりあえず保険を買う時代ではないのです。

銀行も保険会社も投資で稼ぐ~保険料を払うくらいならその金で投資をしませんかという話~

銀行も保険会社も喜々としてやっていることなのですが、皆さんから集めた大量のお金を年数%とかで投資することで、莫大な利益を得ています。

そうして、投資によって稼いだ莫大な利益の取り分のうちのほんの一部を預金者や契約者に返すことによって、銀行や保険会社の経営は成り立っているわけです。

これを聞いて、何だかバカバカしくないですか? 要は投資が一番儲かるって言ってるわけなんですよ。だから美味しい商売として成り立っているし、銀行や保険会社の内勤は高給取りが多いわけです。

 

だったら、銀行とか保険会社に任せてないで、自分で投資をしませんか? という話です。

 

預金も保険も確かに「安心」です。リスクを取る必要がないからです。

ですが、リスクなくしてはリターンは得られない。再三繰り返し述べている投資の大原則です。

 

あなたはリスクを取らない代わりに、自分のお金で得られるはずのリターンを銀行や保険会社に搾取されています。

もう一度言いましょう。何も考えずに全部預金して、勧められただけの保険に何も考えずに入っているあなたは、今まさに搾取されています。

 

それは無知ゆえのことで、とても残念なことだと個人的に思います。

投資は確かにリスクがありますが、時間という武器を味方に付けることによってリスクをかなり下げることができます。とりわけ株式投資のリスクは長期になればなるほど著しく低下します。安全になります。

そして、保険はかなり長期に渡る契約が一般的です。それこそ20年とか終身であったりが普通です。

それだけの時間を味方に付けられるならば、ほぼ確実に投資の方が勝てます。

 

もしあなたが20年超の長期的視点に立ってリスクに備えようと思っているなら、迷わず保険を買うお金で株式投資をすべしです。


例えば、毎月5万投資するとして、年率5%で20年間運用するといくらになるかわかるでしょうか? ちなみに年率5%というのは、分散投資を利用すれば素人でも十分に実現可能なラインです。

何もしないでそのまま現金として持っていると……5万円×12(ヵ月)×20(年)で1200万円です。

年0.01%の普通預金にずっと貯金しておくと……1201万円です。たった1万円しか増えないのです。20年かけて。

では、年1%の定期預金に置いておくとどうなるかというと……1327万円です。

保険会社の予定利率は、昔は5~6%とかもありましたが、今は利率の高い外貨建の貯蓄性保険であっても精々2~3%が限度です。

仮に年3%だとして、毎月5万円20年積み立てたとしたら……1634万円になります。

これが年5%の分散投資なら……2029万円です。

2029万円です。

 

約69%の増額となり、利率の高めな保険商品と比較しても約400万円の差を付けています。

これは何も特別なことではなく、ありふれた現実です。こうした収益性の違いによる差額を銀行や保険会社は稼ぎ取っているのです。


投資の結果を見てどう思ったでしょうか。

これほど増えるならば、もし不測の何かが起こったとしても十分耐えられるのではないでしょうか。

よほど多額の出費でなければ、保険など買わなくても長期的な投資によって将来必要な資金は準備することができるはずです。

ですから、もし時間が許すならば、保険に使うお金を代わりに投資することを真面目に検討してみて下さい。

まだまだあるぞ保険のぼったくりシステム

ここまで純保険料をメインに話をしてきましたが、さらに付加保険料というものがあります。名前の通り純保険料に付加するものであり、こちらが保険会社の収益のメインです。

……つまり、ここからが本番です。

 

次回では、あまりに素敵な(皮肉)付加保険料のシステムと、客を金づるとしか思わない保険販売の現状をお話ししましょう。

そしてきっとこう言いたくなることでしょう。

保険なんて買うな。やめとけ。

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