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投資におけるリスクとは何か?~リスクの数学的定義を学ぼう~

投資におけるリスクとは何か?~リスクの数学的定義を学ぼう~

■リスクについてもっと詳しくなりたい人への理論的説明(ちょっと難しいので、勉強したい方向けです)

皆さんはよく投資について、リスクという言葉を頻繁に聞くと思います。

ところで、リスクとは正確には何を指すのでしょうか? 皆さんはちゃんと理解していますか?

 

実はリスクというのは曖昧な感覚的な言葉ではなく、きちんと数学的に定義された投資理論用語でもあるのです。

投資にとってリスクは隣人のようなものです。リスクをコントロールしながら上手く付き合うことが、長い目で見ると投資では必要不可欠になってきます。

なので、リスクという概念についてある程度知っておくことは、直接的な投資銘柄の選定にはあまり役に立たないかもしれませんが、投資の指針を決める上では必ず活きてくると思います。

また、当ブログでは分散投資を勧めていますが、分散投資をするとリスクが大きく減ると言われています。

なぜ分散投資をするとリスクが減るのでしょうか。

この辺りも含めて、今回はリスクについて詳しく説明していきたいと思います。

■投資におけるリスクとは?~期待リターンに対するバラツキの度合い(標準偏差)のこと~

いきなり定義から入ってしまいますが、リスクとは、期待リターンに対するリターンのバラツキの度合い(標準偏差という)で定義されます。

標準偏差というとあまり聞き慣れない方もいらっしゃるかもしれませんが、偏差値なら知っているという方は多いと思います。

偏差値は、「50を平均(投資の期待リターンに相当)としたときの、テストの成績(投資のリターンに相当)の標準偏差」を使って求められています。

偏差値=50+10×(個人成績 ー 平均点)/ (標準偏差)

 

平均からどれだけ離れているかを、平均からのバラツキの度合いを使って求めているわけなんですね。

さて、一つ具体例を挙げましょう。

同じ10000円で買える仮想通貨Aと、仮想通貨Bを考えます。それぞれ次のような特徴を持っているとします。

  • 仮想通貨Aは、1/2の確率で価格が上がって13000円になるが、1/2の確率で価格が下がって7000円になる
  • 仮想通貨Bは、1/2の確率で価格が上がって15000円になるが、1/2の確率で価格が下がって5000円になる

どちらも期待リターンは10000円ですよね。

では、どっちがリスクが高いかというと……何となく仮想通貨Bの方がリスクが高そうですよね。価格変動が激しいから。

その直感は正しいのです。数学的に考えると、以下のように説明されます。

まず、価格が上がった場合と下がった場合それぞれの、期待リターンに対するリターンのバラツキを定義しておきましょう。

期待リターンに対するリターンのバラツキ=期待リターンとリターンとの差の絶対値

 

例えば、仮想通貨Aの場合、上がっても下がっても元の価格からは3000円離れているので、それぞれのケースのバラツキはどちらも3000円だと考えるわけですね。

そして、ここからがちょっと難しいのですが、この「バラツキ」の“度合い”とは何かを考えるわけです。“度合い”って何だろうと。

“度合い”というのは、“大体どのくらいか”、ということですよね。“大体どのくらいか”は、“平均的にはどのくらいか”に言い換えることができます。

なので、「バラツキ」の“平均値”……すなわち「バラツキ」の“期待値”を求めればいいわけです。

実際には計算上、差の絶対値を直接取るよりも、差の絶対値を2乗してしまった方が色々と便利なので、次のような分散というものがまず定義されます。

分散=「期待リターンとリターンとの差の絶対値の2乗」の期待値

      =「期待リターンとリターンとの差の2乗」の期待値

 (ちなみにここで、x^2=|x|^2、絶対値の2乗と元の実数の2乗が等しいことを使っています。2乗すると一々絶対値を取らなくて良くなるので、計算上便利なわけですね)

 

そして標準偏差、すなわち投資におけるリスクとは、次の式で定義されます。

標準偏差=√分散=√(「期待リターンとリターンとの差の2乗」の期待値)

 

元の数値が2乗されているので、最後に√(ルート)をとるわけですね。

この標準偏差が小さいほど、期待リターンからのバラツキの度合いが小さいと考えられ、リスクが小さいということになります。バラツキの度合いが小さいので、投資が「期待する結果から大きくは外れにくい」わけですね。

リスクの定義については、ちゃんと理解できたでしょうか?

では、なぜ分散投資をするとリスクが下がるのかを、先ほどの仮想通貨Aと仮想通貨Bの例で具体的に考えてみましょう。

 1コイン10000円で買える仮想通貨Aと仮想通貨Bがあります。あなたは今、10000円持っています。

  • 仮想通貨Aは、1/2の確率で価格が上がって13000円になるが、1/2の確率で価格が下がって7000円になる
  • 仮想通貨Bは、1/2の確率で価格が上がって15000円になるが、1/2の確率で価格が下がって5000円になる

ここで、3つのポートフォリオ(投資戦略)を考えます。

  • ポートフォリオ1.仮想通貨Aを1コイン買う(ローリスク戦略)
  • ポートフォリオ2.仮想通貨Bを1コイン買う(ハイリスク戦略)
  • ポートフォリオ3.仮想通貨Aと仮想通貨Bをそれぞれ0.5コインずつ買う(分散投資戦略)

計算するまでもなく、全ての戦略において期待リターンは10000円になります。

では、リスク(標準偏差)はどうなるでしょうか。

ポートフォリオ1

分散=1/2×(13000-10000)^2+1/2×(7000-10000)^2=9000000

リスク=標準偏差=√90000000=3000

ポートフォリオ2.

分散=1/2×(15000-10000)^2+1/2×(5000-10000)^2=25000000

リスク=標準偏差=√250000000=5000

ポートフォリオ3

まずは、すべての場合のリターンがどうなるかを計算する必要があります。以下の4つの場合がありますね。

  1. 1/2の確率で0.5コイン分の仮想通貨Aの価格が13000円に上がり、かつ1/2の確率で0.5コイン分の仮想通貨Bの価格が15000円に上がる
  2. 1/2の確率で0.5コイン分の仮想通貨Aの価格が7000円に下がり、かつ1/2の確率で0.5コイン分の仮想通貨Bの価格が15000円に上がる
  3. 1/2の確率で0.5コイン分の仮想通貨Aの価格が13000円に上がり、かつ1/2の確率で0.5コイン分の仮想通貨Bの価格が5000円に下がる
  4. 1/2の確率で0.5コイン分の仮想通貨Aの価格が7000円に下がり、かつ1/2の確率で0.5コイン分の仮想通貨Bの価格が5000円に下がる

それぞれの場合をまとめると、次の通りになります。

  1. 1/4の確率で、リターンは0.5×13000+0.5×15000=14000円になる
  2. 1/4の確率で、リターンは0.5×7000+0.5×15000=11000円になる
  3. 1/4の確率で、リターンは0.5×13000+0.5×5000=9000円になる
  4. 1/4の確率で、リターンは0.5×7000+0.5×5000=6000円になる

したがって、リスク(標準偏差)は次のように計算されます。

分散=1/4×(14000-10000)^2+1/4×(11000-10000)^2+1/4×(9000-10000)^2+1/4×(6000-10000)^2

=8500000

リスク=標準偏差=√8500000≒2915.4759

計算結果をまとめると

  • ポートフォリオ1.仮想通貨Aを1コイン買う(ローリスク戦略)のリスク=3000
  • ポートフォリオ2.仮想通貨Bを1コイン買う(ハイリスク戦略)のリスク=5000
  • ポートフォリオ3.仮想通貨Aと仮想通貨Bをそれぞれ0.5コインずつ買う(分散投資戦略)のリスク≒2915.4759

となり、なんと、仮想通貨Aよりもリスクの高い仮想通貨Bを混ぜて買っているにも関わらず! 分散投資戦略のリスクが最も低くなりました。

これこそが分散投資のマジック、期待リターンの水準を極力維持しながら、リスクだけを下げることができるのです! ただ分けて買うだけなのに、素晴らしい効果です!

実際には、ハイリスクハイリターンの銘柄とローリスクローリターンの銘柄の分散投資によって、ハイリスクハイリターンに100%投資するよりは一般に期待リターンは下がってしまいますが、同じような計算を行っていくと、一般に投資対象が増えるほど、期待リターンに対するリスクが大きく減るということが何となくおわかり頂けるかと思います。

このように、分散投資には、理論的に有効であるというしっかりとした裏付けがあるのです。

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