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単利と複利の違い~複利の「感覚」を掴もう~

単利と複利の違い~複利の「感覚」を掴もう~

単利と複利の違い~みなさんはちゃんと「感覚」を持っていますか?~

投資と言えば常にリターンを気にするものだと思います。そしてリターンというのは一般的に年率の利率(複利)によって表されます。

なの投資対象の良し悪しを比べたい場合は、リターンの利率(複利)を見ればよいわけですね。もちろん利率(複利)が高いほどリターンは良いということになります。

ところで、複利ってなんでしょう?

利率には単利複利があります。

簡単に言えば、単利は利息がずっと元本(最初に投入する資金)によって固定であるのに対して、複利は徐々に利息が増えていくものになっています。

単利と複利は言葉の上の違いだけではなく、実際全然違うものです。単利が1%違っても大したことはありませんが、複利が1%違うことは大違いなのです。

この「感覚」をぜひ掴んで欲しいと思います。そのためにこの記事を書きます。

単利と複利の関係

まずは利率(年率)を i としておきましょう。文字は難しいよって方、後でちゃんと数値説明をするので心配しないで下さい。現実にはマイナスのリターンもありますが、i はここではプラスの数値としましょう。

そして、元本 x を最初に投資して、n 年間置いておくとします。追加の投資はなしです。一番簡単なパターンですね。

○単利

単利 i の投資商品に元本 xn 年間投資すると、リターンは x(1+ni) となります。

ここでの考え方は次の通りです。

1年目:元本 x に利率をかけると利息が出ます。なので xi が利息となり、1年後のリターンは x+xi=x(1+i) となります。
2年目:単利では利息は xi で固定です。なので2年後のリターンは x(1+i)+xi= x(1+2i) となります。
……

以下繰り返して、n 年後のリターンを得ます。

すなわち、単利とは元本 x に利率をかけた xi固定の利息として毎年入ってくるようなものです。

式を見ると、元本 xn 年後に x(1+ni) になっているので、1+ni 倍になっていることがわかります。

○複利

一方、複利 i の投資商品に資金 xn 年間投資すると、リターンは x(1+i)^{n} となります。

ここでの考え方は次の通りです。

1年目:x に利息 xi がついて、1年後のリターンは x+xi=x(1+i) になります
2年目:複利では1年後のリターン  x(1+i) を新たな元本と考えます。すると x(1+i) に利息 x(1+i)i がついて、2年後のリターンは x(1+i)+x(1+i)i=x(1+i)^2 になります
3年目: 新たな元本  x(1+i)^2 に利息  x(1+i)^{2}i がつきます。3年後のリターンは  x(1+i)^2 +  x(1+i)^{2}i = x(1+i)^3 となります。
……

以下繰り返して、n 年後のリターンを得ます。

このように、複利は時間が経てば立つほど利息が大きくなる特徴を持っています。

式を見ると、元本 xn 年後に x(1+i)^n になっているので、(1+i)^n 倍になっていることがわかります。

上の議論からも直観的にわかりますが、実際、利率が同じ場合は1年より長い期間の投資で単利<複利となります。


事実 n>1 のとき、1+ni< (1+i)^{n} すなわち、単利<複利

証明 二項定理を使うと、

(1+i)^{n} = 1 + ni + {}_n \mathrm{C} _2 i^2 + \cdots +   {}_n \mathrm{C} _n i^n > 1+ ni


二項定理のことは知らなければ忘れてよいです。ただこの式からも、複利は単利に比べてたくさんプラスの項が付いているから相当大きいという感覚を持っておいて下さい。

単利と複利の感覚

では、数値例で見て見ましょう。

あなたの大切な100万円を20年間投資します。

片方は単利で5%、もう一方は複利で5%で運用します。それぞれの20年後のリターンはいくらになるでしょうか。

単利:100 \times (1 + 20 \times 0.05) = 100 \times 2 = 200 (万円)
複利:100 \times (1 + 0.05)^{20} \fallingdotseq 100 \times 2.6533 = 265.33 (万円)

となり、なんと 265.33/200 \fallingdotseq 1.33 倍もの違いが生じます。結構馬鹿にならない差ですね。

では、複利の方は4%としましょう。あなたはどちらに投資しますか?

 

……答えは、それでもなお複利の方に投資した方がお得です。

 

複利:100 \times (1 + 0.04)^{20} \fallingdotseq 100 \times 2.1911 = 219.11 (万円)

となるからです。

では、複利の方は3%としましょう。あなたはどちらに投資しますか?

 

……さすがに単利の方が大きくなります。

 

複利:100 \times (1 + 0.03)^{20} \fallingdotseq 100 \times 1.8061 = 180.61 (万円)

です。

多少低い程度なら複利の方が強いという感覚は大切です。

複利の感覚

同じように、あなたの大切な100万円を20年間投資します。今度は複利同士で比較してみましょう。

大体の感覚ですが、普通預金で年0.01~0.1%、円定期預金で年0.2~0.3%、外貨定期預金で年1~2%、債券投資で年2~4%(外国債や社債も使う)、株式投資で年6~7%(安定運用した場合)くらいいけると思います。

それぞれでリターンを出してみましょう。


0.01%:100 \times (1+0.0001)^{20} \fallingdotseq  100.20
0.1%:100 \times (1+0.001)^{20} \fallingdotseq  102.02
0.2%:100 \times (1+0.002)^{20} \fallingdotseq  104.08
0.3%:100 \times (1+0.003)^{20} \fallingdotseq  106.17
1%:100 \times (1+0.01)^{20} \fallingdotseq  122.02
1.5%:100 \times (1+0.015)^{20} \fallingdotseq  134.69
2%:100 \times (1+0.02)^{20} \fallingdotseq  148.59
3%:100 \times (1+0.03)^{20} \fallingdotseq  180.61
4%:100 \times (1+0.04)^{20} \fallingdotseq  219.11
5%:100 \times (1+0.05)^{20} \fallingdotseq  265.33
6%:100 \times (1+0.06)^{20} \fallingdotseq  320.71
7%:100 \times (1+0.07)^{20} \fallingdotseq  386.97
8%:100 \times (1+0.08)^{20} \fallingdotseq  466.10


このように、複利になると少し利率が違うだけで将来のリターンが大きく異なるのです。ですから、1%の違いが非常に重要になってきます。これは利率だけでなく、信託報酬などのコスト面についても言えます。決してコストを軽視しないことです。

ところで、普通預金に入れておくと、よくて2万円くらいしか増えないことがわかります。
高利率の定期預金でも150万円に届かないくらいです。

一方、債券や株式の投資を利用すると、もし年率6%近くのリターンを出せるなら、元本の3倍程度のリターンになることがわかります。そして、これは分散投資によって素人が無理をしなくても十分に到達可能な水準です。

もし私が万人に投資を勧めるとしたら、私たち一般人の目指すべき無理をしない投資はこのラインです。20年かけて元本を3倍くらいにしましょう。老後の生活に十分ゆとりができるでしょう。

 

複利の年率5~6%は十分すごいことなんだという感覚が大切です。この感覚を常に忘れないようにしましょう。配当や値上がりがしょぼいように見えても、投資を続けるモチベーションになるでしょう。

 

そして、私たちは損をしないために投資という選択をするべきです。一見地味な短期間のリターンの差が、将来の大きなリターンの差に繋がるのです。

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